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2008年5月10日 (土)

「始まりのエピローグ」・12(改稿版)

 主にアリサの口元から。
 無残にも。
 至高の玉子焼きだったそれは、小さな唾液まみれの黄色い破片となって、思いっきりはやての顔面へと降り注ぐ。
 白昼の惨劇。
 数秒の沈黙。

「あ、危なかった……」

 はやてのため息で、沈黙が破れる。
 ギリギリのところで車椅子をスピンさせて散弾の被害を回避したらしい。彼女の顔にも服にも、被弾の痕跡は見あたらなかった。
「けほっ、けほっ!」
 思い出したように、アリサが咳き込む。
 残った弁当はかろうじてぶちまけずに済んだが、その代わり気管に少し入ったようだ。もはやツッコミを入れる余裕すらなく、ただひたすらに噎せ続けている。
「わわ、大丈夫? アリサちゃん!」
「お、お水お水……」
 なのはとすずかによる必死の救助作業によって、アリサはようやく人心地付いたのだろう。しばらく荒い息で肩を揺らしていたが、いきなりものすごい勢いで立ち上がった。

「どっ、どうっ――! どー!」

 けれど、まともに言葉が出てこない。

「ドードー鳥の物まね?」
「違うわああああああああっ」

 ツッコミを入れたことで何とかいくらか平静が戻ってきたらしい。
 ぶはーっと大きく息を吐き、もう一度思いっきり息を吸い込む。

「どーいう意味よそれはっ! って聞こうとしてるのよっ!」
「どういう意味って、そりゃ、もう決まってると思うけど」
「はやて……それ、何で――」

 顔を真っ赤にしたまま、フェイトは完全に凍り付いている。

「……アンタも否定しなさいよ」
「――あ、いや、その、あの」
「遅いわよ、今更」

 アリサの肩から、力が抜けてしまっていた。
 彼女の反応はあまりにわかりやすすぎ、要するに、そういうことなのは間違いないわけであると何よりも雄弁に物語っている。

「にしても、あのエロ助、思ったより手が早かったのね。警察官の犯罪がここのところ多いって言うけど、どこの世も似たようなものってわけか」

 
 

「だから、僕はエロノでもエロ助でもないっ!」

 日中のハラオウン家で、クロノは近所に迷惑になる寸前ぎりぎりのボリュームで怒声をあげていた。
 だが。

「はいはい、エロ助くん。わかりましたから仕事のほう片付けといてくださいね」

 クロノの抗議は、ひらひらと振られた手であっさりと却下されてしまう。
 モニターを前にものすごい勢いでキーボードを叩いていくエイミィは当面その呼称を変える気など無いようだ。仮にも上官に対してとんでもない態度ではある。

「だから、その――」
「エロノー、お茶入れてお茶」

 こちらの呼び声は、キッチンのテーブルで書類の山とにらめっこしているリンディのものだ。

「かんちょおぉぉぉ……」

 ムンクの叫びみたいな顔になりながら、クロノは力尽きつつ振り返る。

「暇なんでしょ。お茶くらい入れなさい。私もエイミィも忙しいんだから」
「僕だって睡眠時間削ってるんですが」
「フェイトに手を出す時間はあるのに?」
「だから、それは!」

 クロノの顔が、青から赤に一瞬で変化する。ほとんど信号機のノリだ。

「クロノ……お兄ちゃんでもいいから、ずっと、わたしのそばにいて……」

 見事な声帯模写技術だった。
 クロノでさえ一瞬背後に本物のフェイトが居るのではないかと思わず振り返ったほどに。
 もちろん、そこには背中を向けてキーボードを叩き続けるエイミィしかいない。
 が、モニタにうっすらと写り込んだ彼女の口元はこれ以上ないくらい邪悪に歪んでいた。

「ななななななななななななななんなんなんななんんん」

 もはや、悲鳴だ。

「さて、エロノ執務官。なにか、言い訳があるのかしら?」
「――あり……ません」

 クロノにはもはや『力尽きかけながらぐったりとうなだれる』という選択肢しか残されていなかった。

「まあ、この件に関しては一応この場だけの話にしておくけど」
「フェイトちゃんと同意の上ですからねー。ま、一応ギリギリセーフってとこですか」
「でも、お赤飯まだ炊いてないのよねぇ」

 ため息をつくリンディに、エイミィはキーボードを叩き続けながらも器用に肩をすくめる。

「あー。それはレッドカードっぽいですねぇ。さすがに引くなあ」
「……もう、好きなように言ってくれ……」

 ソファーの上に力尽きながら、クロノはぶつぶつと投げやりに降参の意を示す。何とか抵抗の意志を絞り出しても、左右からの間断無い連続攻撃にあっさり打倒される。これで何度目だろうか。これでは進む仕事も進まないわけである。

「はい、サボってないで仕事しなさいエロノ」
「ぐ――」

 唸ったクロノは、それでも無駄な抗議はもうあきらめたのか、深いため息をつきながら、自分の仕事をするために端末を開いた。
 死人みたいな顔でのろのろとキーボードを叩き始めるクロノに、リンディは冷たい言葉を向ける。

「反省してるかしら?」

 けれど、クロノはうなだれず、ただ一言きっぱりと答える。

「しない」

 リンディの目が、すうっと細くなった。

「聞き捨てならないわね」
「確かに、早すぎたとは僕だって思ってる。けど、僕も、フェイトも、後悔はしないと決めた。選んでしまった道を悔いるようなまねはしない」
「そう、か」

 リンディはふっと頬を緩める。
 わずかに目を閉じたのは、今は亡き夫に息子の決意を伝えるためだろうか。
 再び息子を見つめる母親の目には、またからかうような色が浮かんでいる。

「でも、フェイトはまだ女の子として成長しきってないんだから、気をつけてあげるのよ。それに、そろそろちゃんと女の子になる年頃なんだから、気をつけないと。私だってまだ、おばあちゃんにはなりたくないんだから。こんなにお肌もつやつやなのに」

 頬をきゅっきゅっと撫でて自画自賛する母親に、クロノは思わずうんざりした声を上げてしまう。

「無理な若作りは、やめた方がいいですよ」

 もともとやたら若く見えるんだから、という言葉を欠いてしまったのは、身内ゆえのひいきに感じてしまったからかもしれない。
 だが、それは痛恨のミス。

「クロノ、ちょっとこっち来なさい」

 思わずエイミィまで振り返ってしまうほどの声音。
 後に、彼女はそこに鬼がいたと語ったという。

 
 

「ああああえええええとね、クロノから無理矢理されたってワケじゃなくって、その、いや、でもわたしが誘ったってワケじゃなくってその、つまり、一緒にお風呂に入ったあとそんな感じになっちゃったって言うか――」
「フェイトちゃん、そこまでにしておいた方がいいと思うの」

 なのはがフェイトの肩に手を置かなければ、フェイトは更に深い深い墓穴を掘っていたに違いない。

「……凄いなあ……大人の世界や」

 はやてが実に感服したように頷く。

「ちょお勉強になったわ」
「初夜だの何だの言い出したのは、アンタだったと思うんだけど」

 じっとりとした目で、アリサははやてをにらみつけた。

「おかげで、あたしの玉子焼きが……」

 黄色い破片が転々と散らばった床に視線を移し、恨めしげにぶつぶつと文句を言い続ける。食い物の恨みは恐ろしいものだ。

「そもそも納得行かないわ。なんであたしだけ被害受けるのよ……」

 玉子焼きの破片ははやてに直撃する軌道を描いていたはずだ。普通にしていたら車椅子でなくとも回避は難しかったはず。

「凄いやろ? ちょっとアニメを見てえらい格好良かったから、わたしの車椅子にも改造してみたんよ」

 はやての指さす先には、地面に食い込ませるくい状のパーツが追加されていた。そこを支点にして最小半径での旋回を実現したのだろう。
 ――冷静に考えれば意味のない部品だが。

「そう言う意味じゃない! ってかいったいどんなアニメ見たのよ!」

 アリサの言葉を無視し、しかめつらしい顔を作ったはやては、いつの間にか手にしていたコップを傾ける。

「はやての飲むアリサのコーヒーは、苦い」
「古すぎ! あんた何歳よ! ってかそれあたしのお茶だし!」
「あはは、アリサちゃんわかるんや」

 はやては嬉しそうに笑った。何しろ古典アニメの名台詞(ただし予告)である。そもそも女の子が見るようなアニメでさえない。

「ネットで再放送を見たんよ」
「まあ、いいわ。そう言うことにしといてあげる」
「ところで――」

 話を変えようとしたのだろうか。それとも最初から気になっていたのだろうか。なのはがくいっと首を捻った。

「はやてちゃん、なんでお弁当食べてないの?」

 なのはの言葉は、実にいまさらな指摘だった。
 ここに集まった五人の中でお弁当を開いていないのははやてだけ。いくら昼休みの時間がまだあるとはいえ、いつもなら自身でこしらえたか、シャマルが手がけたお弁当を、幸せそうな顔をしながら既に半分は平らげている時間帯だ。

「それなんよ……」

 とほほ、という顔になってはやてはがっくりと肩を落とす。

「おなかが空いてしもうて、もう気が立ってな」
「まさかそれであたしにちょっかい掛けてた、って言うんじゃないわよね」

 アリサがジト眼になって、自分の弁当を心持ち引いた。獲物を狙う猛禽のようなはやての視線が気になったのかもしれない。もちろん自分のお弁当を一切分けてやらないほどアリサもケチではないのだが、なにしろはやての視線は主に最後の一個となった玉子焼きに向けられていた。それだけは死守しなければならないのだろう。アリサ的に。

「まさか、お弁当忘れたとか? 分けてあげようか?」
「いや、気遣いは嬉しいんやけど、忘れたんとはちょっと違ってな」

 ぱたぱたとなのはに手を振って、はやては空に向かいぼやく。

「何してるんやろ。遅いな……」
「はやてー!」

 ぼやく声に重なり、元気な声が響いた。

「ごめんなさい、はやてちゃん。遅くなっちゃって」

「屋上へあがる階段が分からず少し迷ってしまいました」
 予想せぬ闖入者に、我関せずを貫こうとしていた他の子供達も一斉にそちらの方を向く。大小揃った四つの人影。それは、見間違いようもないはやての騎士――いや、家族達だった。

 

 §   §   §

 

「うん、上出来や。やっぱお弁当でもあったかいとひと味以上違うなあ。シャマルもほんま料理上手くなったし、最高や。今日はいつもよりサービスしておっぱいもんであげよ」

 またとんでもないことを言いながら、はやてはもう一つのミニハンバーグに手を伸ばす。
 一口でほおばり、ひと噛み、ふた噛み。
 実に幸せそうな笑顔を浮かべ、更にもう一つのハンバーグに箸を伸ばす。

「サービスしなくていいですから」

 お茶を差し出しながら、シャマルは苦笑するしかなかった。
 彼女の指先では、ペンダルフォルムになったクラールヴィントが柔らかな光を放っている。特に強力な魔法を放っているわけではなく、単純に周囲の注意を逸らす弱い結界を張っているだけだ。結界の中であれば、どんな話をしても周囲にはたわいもない歓談をしているようにしか聞こえない。

「まさか、魔法で先生達の許可を取り付けたとか?」

 アリサは落ち着いて弁当を平らげられるという現状にほっとしながらも、ふとそんな疑問を口にした。

「いや、直接お願いしたら快く許可を頂けた。先生方とは何度かお会いしているからな」
「無理強いするくらいなら、最初っからこんなこと考えねー。見損なうんじゃねーよ」
「そうね。それに人間の意識をそこまで操作する魔法は、私も使えないし」

 ヴィータとシャマルもはっきり否定する。

「そもそも、使える魔導師もほとんどいないみたいだよ。そういう魔法は犯罪に使われやすいだろうし、規制されてるんじゃないかな」
「ふーん、そうなんだ。ごめんね」

 アリサは自分の非をあっさり認め、それから何気なく箸を止めた。
 はやてと騎士達の前に並べられた重箱は実に六つ。まだ暖かいおかずも相当量あるようで、お弁当というにはいささか豪華すぎるメニューが並んでいる。もちろんはやて一人が食べるわけではなく、勢揃いした八神家の一同全員のための分だ。が、それでもいささか多いように見えなくもない。

「よかったら皆さんにもと思って、多めに持ってきたんです」

 アリサの疑問に、シャマルはにっこり笑って答えた。

「仕込みはわたしも手伝っとるし、けっこう良い出来やと思うよ」
「んじゃ、少し……」

 はやての勧めに従ってアリサは箸を伸ばし、唐揚げを一つ失敬する。
 しっかりと味のしみた鶏肉は、まだ充分以上に暖かい。肉汁がたっぷり含まれた中身を、まだサクサクの表層がしっかり包み込んでいる。これは作ってから時間が経っている普通のお弁当ではまず出せない味わいだ。

「美味しい」

 アリサのつぶやきは、シンプルなだけに素直な感想だった。

「良かった。はやてちゃんから直伝の味付けだけど、ちょっと火の通し方に工夫をしてみたの」
「お、創意工夫は良いことや。あとでわたしもシャマル先生の工夫をレクチャーしてもらわんとな」
「もう、はやてちゃんったら」

 からかうはやての言葉に、シャマルははにかむ。

「けどさ、外で食うメシってのもいいもんだな」
「そうだな……かつて戦場で駆け回っていたときも、屋外で食事になることは多かったものだが」

 頷きかけたリインフォースが、苦笑いした。

「ありゃメシじゃねえだろ。エサみてーなもんだ」

 渋い顔をするヴィータに、リインフォースも否定の言葉を口にすることが出来ない。

「そうだな。こうやってゆっくり食事の時間を楽しむ事が出来る。幸せな事だ」
「一度はいなくなったはずのリインも、ここにおる。これ以上の幸せなんてあらへんよ」
 はやては微笑むと、ほこほこの里芋をつるんと口に含む。

「ん、美味しい」
「それ、リインフォースにも手伝ってもらったんです」
「お、そしたらこっちのちょっといびつなんはひょっとして」
「お恥ずかしい……」

 リインフォースの顔が少し赤くなる。
 料理など、本当に初めてだったのだろう。そう言う意味でシャマルと条件は変わらない。単にはやての元に二年いたかいなかったか、それだけの差でしかないのだろう。

「ま、こういうのも、悪くはないわね」

 もう一つ、今度はサラダに箸を延ばしながらアリサは笑った。そして、もう一人ここにいない人物について言及する。

「ザフィーラも来れば良かったのに」
「あいつは厳ついからな。こんなところに来たら騒ぎになっちまう」
「あはは、既に大騒ぎっぽいけど」

 なのはが苦笑いする。実際、四人がこの屋上に現れたときは思い切り注目が集まっていた。今静かに食事が出来ているのは、シャマルの魔法があるからこそ。

「ま、この手の人払いってのは、移動してるときは効きにくいからな。あたし達だけならともかく、ザフィーラみたいなのがいたら、やっぱ目立ちすぎるだろ」

 ヴィータが肩を竦める。

「まあ、犬の格好してても、人の格好してても、ひどい騒ぎになりそうではあるわね」
「それに、あいつはあいつで留守番のほうが性に合ってるってさ」
「そっか。じゃあ、後で何か差し入れてあげた方がいいかもね」

 瑞々しさを失っていない、しゃきしゃきとした歯ごたえを保っているサラダを堪能しながら、アリサは頷いた。

 それから、ちょっとだけ苦笑いする。
「参観を兼ねて出来たてお弁当のデリバリーね……なんかどっかで聞いたような話だけど」
「あはは、多分それ、うちのお話」

 なのはが微笑みを浮かべる。照れているような、それでいて懐かしんでいるような、柔らかい微笑み。

「フィアッセおねーちゃんがね、いちどおにーちゃんとおねーちゃんの学校を見に行きたいって、翠屋のデリバリーサービスとかいきなりやらかしたことがあって」
「そうそう、思い出した。それよ。けっこうあちこちで有名になっちゃってるんだから。あのフィアッセ・クリステラがって。」

 アリサはため息を吐く。
 その名は世界的な歌姫である超有名人の物。もちろんそれが単なる偶然などではないことくらい、アリサもよく知っている。
 ぽん、とすずかが手を合わせた。

「そうだ、思い出した。お姉ちゃんもご相伴にあずかったって言ってたっけ」
「忍さんもかあ。そりゃ、クラスメイトだったっていうもんねえ……」

 一度、ため息を吐く。まるっきり呆れたと言わんばかりの風情だが、語尾にはほんの僅か憧れのような物が混ざっていた。

「まあ、今日のはシャマルの作ったもんだから、あんな上等なもんじゃねーけどな」
「そりゃ、桃子さんにはどう頑張っても追いつけないけど」

 わずかに傷ついたような顔を見せるシャマル。

「だが、我らの中で料理が出来るのはお前くらいだからな。誇って良いと思うが」
「シグナムとかヴィータと比べられても、それはそれで困るんだけど」
「ぷっ」

 思わずはやてが噴き出し、シグナムとヴィータは何とも言いようのない表情で顔を見合わせた。

「なになに? なんなの?」
「いや、それがな――ぷぷぷぷっ、この前な、シャマルがちょっと熱を出して寝込んだことがあったんやけど」
「はやて!? それは秘密って言ったじゃん!」
「主はやて、それ以上は!」

 今にも爆笑しそうなはやての様子に、やり玉に挙がった二人は慌ててはやての口を塞ごうとする。

「味見させられたザフィーラがな、それからしばらくなんにも食べてくれんようになってしもて、ずいぶん苦労したんよね」

 例のターンピックでくるっと回転してシグナムとヴィータを躱したはやては、さらっと二人の秘密を暴露した。

「何を食べても口の中がざらざらして灰の味がするって言ってましたから……相当な物だったんだと思いますが」

 シャマルがはやての言葉を補完する。肝心のザフィーラは遠慮してこの場に居合わせていないのだが、もしこの場にいたならどんな顔をしていただろうか。

「いったい何を作ったんだろ……」

 想像してしまったのか、フェイトはふと背筋を震わせた。

「なんなら一度作ってやろうか? テスタロッサ」
「……遠慮しておきます」
「なに、遠慮は要らん」
「遠回しの毒殺宣言ですね、それは」
「言ってくれるな。テスタロッサ」

 今にも抜いて果たし合いを始めてしまいそうな二人に苦笑しながら、アリサはもう一人、会話に加わっていない女性に視線を向ける。

「楽しそう――ですね」

 こくこくと。
 腹を抱え込んで肩を震わせている朱い瞳の女性は、頷くことでようやくその意志を示すことに成功した。目尻に涙が浮かんでいるのは何も泣いていたわけではない。むしろ、その逆だ。

「お前がそんなに笑うキャラクターだったとは、知らなかったが」

 むすっと、シグナムが呟いた。

「ゆ、許せ――」

 ようやく、リインフォースはその言葉だけを口から絞り出す。
 まだ油断すれば噴き出してしまいそうになるのだろうか。

「お前たちのこんな姿を見るのは、初めてだからな」
「まあ、リインも少しすれば慣れるやろ」

 はやては肩を竦め、弁当を平らげる作業に戻る。

「しばらく……か」

 ようやく笑いの発作を鎮めたリインが、俯きながらぽつりとそんな言葉を漏らす。
 弁当に箸を延ばそうとしていたシグナムが、ふとその動きを止めた。

_/_/_/_/

というわけで某氏より「スルーかよ!」というツッコミがあったため大幅改稿しました。

大変お騒がせしたことをお詫び致します。

……っていうかなんか倍くらいに増えた!?

しかも妙に詳細だよ! この話って八神家SSじゃなかったっけ!?

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コメント

お疲れ様です。

まず、エロノ。口が滑るにしても『迂闊』だな。フェイトもなのはが止めなければ墓穴を無限に掘り続けそうだし…兄妹だな(w。
シグナムとヴィータが何やら『とらハの』美由希レベルの料理音痴って…、フェイトの毒殺発言にもフォローが感じられない(汗
最後のリインフォースの呟きが温かいワンシーンにポツリと陰を落としてる…悲しみにつながらないといいけど…。

投稿 大坂者 | 2008年5月10日 (土) 11時34分

非常に楽しませていただきました。
前半はエロノいぢりで笑い、後半は雲の騎士たちのやりとりが………

エロノ執務官、後悔しない、と言い切るコトができるのはすばらしいコトです。
しかし、同意とはいえ、準備ができていないのはいただけない。
セーフだけどアウトですよ。
まぁ、いつまでも変わらず若いリンディさんにお仕置きされたしイイ気味です。

雲の騎士たちも、本当に幸せそうで、特にリイン。
今までとは全く違う主従の『絆』、これまでのような道具ではなく、家族としてのやりとり。
どれほど願っても見ることが叶わなかった騎士たちの『笑顔』。
そして、『人間』として幸福に生きる騎士たちとまた、共にその『幸福』感じ、分かち合いながら今在ること。

素晴らしいです。

では長文ダラダラとすみませんでした。

投稿 ねこ | 2008年5月10日 (土) 11時34分

>大坂者さん
この後血で血を洗う決闘に……
いや、皿で皿を洗う決闘に。

そろそろ、話の山も近づいてきています。

>ねこさん
某氏よりツッコミがあったためエロノ分を大幅に増強しました。
幸せな八神家、という描写がうまく出来ているといいのですけど。

投稿 ちょー(管理人) | 2008年5月16日 (金) 03時16分

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